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(27話)18年前の『お 礼』

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《4月10日6時頃だったと思う》伊万里市内


いい匂いにつられて目が覚めた。

突然泊めて頂いたにも関わらず
朝食まで用意されているなんて夢にも思わなかった。

卓を囲み、男性の奥さんと3人での食事中
以前、神奈川の寒川から一人の若者を預かったという話を聞いた。


複雑な環境を思春期に過ごしたという面識も無い彼に
やたらと親近感が湧く。

奥さん「もし、神奈川に戻って会うことがあれば、よろしく伝えてちょうだいね」

もちろん
その『彼』と出会うことなんて奇跡に近いだろう。

だがその言葉には
きっと様々な想いが込められていたに違い無いと思うと

『わかりました、必ず』

決して軽はずみな気持ちで言ったわけでも
建前でも、労ったわけでもない。

この気持ちは俺にしか理解出来ないだろうな。

朝食を終え、雑談もそこそこに
目的を果たすため新聞屋さんを後にした。

とはいえ、何の当てもなく町中を歩き回っていても
人生の恩人であるちかさんに会えるわけはない。

そんなことは先刻承知の上だ。
かといって警察は頼れない。

家出中の身である以上、”ゴール直前で棄権”なんてことは
十分にあり得るのだから。

さて、どうしたものか...

悩むまでもなく答えは既に決まってはいたけど
なかなか踏ん切りがつかず、また、無闇に歩き続けた。




《4月10日10時頃だったか...》伊万里駅前~


電話ボックスの中で、うずくまって泣いていた。

5分だったか...10分だったか...
もっと長い時間、そこでそうしていたかもしれない。

力無く駅の待合室へと移動し
それから30分ほど経った。

ちかさん「何やってるの?」

半ば呆れたような面持ちで声をかけてきた。

再会を喜ぶべきだったんだろうけど
だめだ、まともに顔を見れない。

沈黙を貫く俺の心情を察してか
ちかさんもしばらく口を閉ざしていた。

ちかさん「・・・お母さん、心配してたよ」

そう

俺のとった最後の手段は
神奈川の”奴ら”に電話をかけること。

できることなら、それだけは避けたかったが
贅沢を言っていられる状況でないことはよく分かっていた。

もし、あのとき

もう少しズルさを備えていたら
また違う手段を取っていただろうな。

ちかさん「私の家、隣町だよ?」
「もしまた地元離れてたらどうするつもりだったの?」
「結婚して苗字変わってたかもしれないんだよ?」

矢継ぎ早に言葉をかけられ
さらに何も言えなくなってしまった。
当然だ、おっしゃる通りなんだから。

『ごめん』

やっとのことで口を開いた一言はたったそれだけだったけど
それだけで大半は伝わったようで

ちかさん「疲れてるでしょ?とりあえず乗って」

笑顔でそう促され
車の助手席へと腰を下ろした。

ちかさん「せっかくここまで来てくれたんだから」と
一路、阿蘇山へ向かうことになった。




《4月10日時間忘れた》阿蘇山


車内ではいろんなことを話した。

ここに至るまでのこと...
家出を決行した理由...
誰にも話せなかった胸中の思い...
お互い今までどう過ごしてきたのかなどなど...

本人のために
ちかさんが神奈川から伊万里の実家へ戻った経緯はここでは伏せるけど
辛い思いをたくさんしてその決断に至った事だけは確かだ。

すっかり疲れも忘れておしゃべりに没頭していると
既に目の前には熊本は阿蘇山が悠々とそびえ立っていた。

日本を代表する世界有数のカルデラ湖のひとつってことは
学生時代、授業中に居眠りしながら聞いた覚えがあった。

ちかさ「晴れてればもっと良い眺めなんだよ!」

霞みがかった車窓からの景色は、それでも十分に開けて見えた。

”絶景”
そんな表現がしっくりくる。

牧場には牛や馬がほぼ放し飼い状態で
その真新しい景色は今までの疲れをさらに癒してくれた。

頂上付近の駐車場から火口へと向かう途中
石を積み上げて作られた”蔵”のようなものが点在していた。

ちかさん「たまに噴火するから、避難するためにあるんだよ!直撃したら死んじゃうじゃん(笑)」

おっかないことを無邪気に言ってくれる(笑)

霧がかかっていたせいで、あたり一面は真っ白になっていた。

火口の手前は身投げ防止の為なのか
当然のことながら仕切られていて、あたりは硫黄の臭いが充満していた。

ちかさん「ここから落ちたらきっと即死だよ~(笑)」

すっかりガイドさん役に徹してくれて
なんだかそんな仕草が愛おしく思えた。

このまま抱きしめてしまおうとあらぬ事を考えたけど
ひらりと避けられた瞬間、俺即死じゃん!

数日前までの俺なら
自らダイブしたかもしれんが、今は違う。

人の温かさに触れ続けたことで
生きてるってことが、どれだけありがたいことなのか
わかったから。


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